美濃んちゅの酒場

岐阜を愛する若者が、様々なことを調べたり調べなかったりするブログです。ローカルネタから真面目なネタまでジャンルはゆるめです😁✨✨覗いてみてください。

【創作】首のない地蔵~序文~

 以前、今年の目標として小説を書くということを挙げましたが、今絶賛執筆中です。

飽きが来る前に書けるだけ書き進めたいのですが、今回は本文に入る前の序文が書けたので公開します。

書き終えてから一気に公開する方がいいのか、キリがいいところで公開した方がいいのか悩んでいますが、需要の有無にかかわらず、何らかの形で公開します。

出版社の人!!オファー待ってるよ!!!(笑)

 

首のない地蔵 宇山雪丸

~序文~

 すべての場所には匂いがある。木々、草花、アスファルト、土。その場所を形成するすべてのものが持つ独自の匂いが重なり合い、二つとないその場所の匂いを形成する。

 匂いは記憶に直結する。そう誰かに聞いたことがある。いい記憶も悪い記憶も、その当時の匂いを嗅ぐと瞬間的にフラッシュバックしてしまう。僕の意思とは無関係に…。

 

 二神竜也(ふたかみ たつや)という僕自身を形成する匂いもきっとそこにはあるはずで、僕に対して好意を持っている人も、そうでない人も一様に、何らかの匂いをそこでは感じている。そして何かの拍子に、そう、例えば僕の匂いと似た匂いを肌で感じ取った時、僕に対する何らかの感情を思い起こすのだろう。そうであってほしい。

 青空の下に、少し枯れ始めた芝生が広がっている。ここに寝そべってからもう30分ほど経ったのだろうか。北風が運んでくる土の匂いを全身で感じながら、ただひたすらに物思いにふけっていた。

 頭の中に浮かんでは消えていく、とりとめのない言葉たち。

 自分の人生を振り返るような年齢でもないが、時折この26年間を客観的に見たくなるそんな瞬間がある。そして、同時にどうしようもない未来への不安感に襲われるのだ。

 青空に雲を遊ばせながら、言葉を紡ぐ。この瞬間ですら、不安が脳裏を支配するのだ。

 この逃れることのない不安と僕はどう立ち向かえばいい?答えを他人に求めても、きっと求める答えは返ってこないだろう。答えは自分の過去にある。だから人は不安に襲われたとき、本能的に過去を振り返る。つまり、過去を振り返るときは、総じて何か不安なことがあるのかもしれない。

 そう、今の僕も。