4月になると、どこの企業や自治体でも新人さんが配属され、新しい社会生活をスタートさせる。
最近は様々な採用方法が社会的にも認められてはきているが、依然新卒一括採用がメインである。
新卒一括採用といっても、新卒にもいくつか種類がある。
- 高校卒業
- 専門学校卒業
- 短大卒業
- 大学学部卒業
- 大学院卒業
思いついただけでもこれだけある。
就職活動というと、どうしても大学学部卒以上がメインで話が進んでいくし、そのようなイメージが先行してしまうのは自身の就職活動がやはり学部時代だったからかもしれないし、この記事でも学部卒と院卒の話がメインになっている。
さて、多くの企業の採用条件をみると大学学部卒と大学院卒で初任給に差を設けていることが多い。もっと言えば、同じ院卒でも修士課程と博士課程で給与に差をつけている企業もある。
大学院卒は、学部卒よりも最短で2年学問の世界に浸かっているわけであり、給与が高いのも専門知識のレベルが学部卒よりも高いことが想定されるためであろう。これ自体は誰しもが納得する理由だ。
しかし、毎年5月くらいになるとどこの企業でも聞こえてくるワードが存在する。それが「院卒なのに使えない」というワードだ。
実際私の後輩にも使えない院卒がいるが、当然使えない学部卒も存在するし、自治体だと「大卒のくせにあいつは使えない」というワードも存在する。しかしなぜか、「使えない院卒」というものが世間では目立ってしまう。
いったいなぜか。
これにはいくつか理由がある。
1つは新卒一括採用が大学学部卒を主流としているため。
学部卒と院卒でははっきりいって母数が違う。特に文系では大学院に進む人間は残念ながら少数である。実際「院卒は使えない」というワードが飛び交う部門は、大概が事務や営業などの文系出身者が多く配属される場所が多い。学部卒が多い環境では、どうしても院卒が目立ってしまう。
2つめは周囲の期待とのミスマッチング。
大学院にいった人は学部で終わった学士よりも多く勉強していたから、きっと仕事もうまくできるはず!
このような期待を院卒の方に持っている人がかなりいる。ただ、当然ながら自分自身が専攻していた分野においてはかなりの専門性があっても、関係ない部門に配属されたらはっきりいって学部卒とスタート位置は同じである。
歴史学を専攻していた院生が生命保険の営業部門に配属された場合、経営学を専攻していた同じ部門の学部卒より仕事が出来るかと言われると、本人の営業能力が高ければ別だが、スタートラインにたった段階で院卒の方が仕事ができるとは限らない。
それなのに、院卒という理由だけで、仕事ができるという期待を無条件で彼らに付与してしまっている。
結局「仕事ができない院卒」というワードは、仕事ができない院卒本人に問題があるというよりも、周囲の環境が原因であることが多い。
院卒者本人のプライドが高く、使いにくいという理由もあるかもしれないが、はっきりいってそれは個人の問題であり、院卒全体の話ではない。
院卒だろうと学部卒だろうと、仕事ができる人もいればできない人もいる。院卒という一くくりにした評価はもうやめにしよう。
ちなみに私個人は同期が半分以上院卒だった学部卒。みんな気楽に社会人生活送ろうぜ。